休職中は、孤独や不安に押しつぶされそうになる時間が長く続きました。
動悸や震えで体が思うように動かないとき、何をしても気分が晴れないとき。そんなときに何度も私を救ってくれたのが「猫」でした。
ただ可愛いから癒される、という以上に、猫の存在そのものが安心感を与えてくれて、「大丈夫」と思わせてくれる不思議な力がありました。ここでは、私が休職中に猫に救われた具体的な体験を振り返ってみたいと思います。
最初の休職と子猫との出会い
実は今回が初めての休職ではありません。私は過去にもう一度、剥奪性口唇炎という病気で会社を休んだことがありました(この病気のことはまた別の記事で書こうと思っています)。
そのとき、実家に母猫とはぐれたのであろう子猫が迷い込んできました。幼少期から動物を飼いたい気持ちはあったものの、実際に保護してみると「どうしたらいいの?」とてんやわんや。小さな体で必死に鳴く子猫を前に、戸惑いと不安でいっぱいでした。
それでも時間がたつにつれて警戒心がとけ、子猫が少しずつなついてくれるようになりました。膝に乗ってきたり、安心したように眠る姿を見ていると、不安でいっぱいだった私の心も少しずつ癒され、救われていきました。
結局、実家の事情もあり私自身が飼うことはできず、離婚した父親が引き取って育ててくれることになりました。母とはそのことでぶつかり合うこともありましたが、それ以上に猫と出会い、心を救われた体験は私にとって大きな出来事でした。この出来事をきっかけに、私は完全に「猫派」になったのです。
2回目の休職と猫カフェでの癒やし
2回目の休職は、適応障害と診断されたときのことです。会社でのパワハラやセクハラによる強いストレスが続き、ついに心身が限界を迎えました。休職を決める前から、動悸や震えが止まらず、信号の赤や青すら判別できないほど判断力が落ちていました。食欲もなく、何を食べたいのかも分からない。とにかく体も心もおかしくなっているのに、自分では異常だと気づけない状態でした。
「気分転換に外へ出てみよう」と思っても、散歩も運転もできない。何をしても落ち着かず、途方に暮れていました。そんなとき、近所に猫カフェがあるのを思い出し、思い切って立ち寄ってみることにしました。
その日は偶然貸し切り状態で、店内には私ひとり。入るとすぐに1匹の猫が膝の上に乗ってきました。最初は戸惑いましたが、その温かさと柔らかい毛並みを撫でているうちに、少しずつ心拍が落ち着き、震えも収まっていきました。猫たちが自由に歩き回る姿を眺めながら過ごす時間は、これまで感じていた焦燥感を忘れさせてくれるものでした。
帰り際にスタッフの方から猫の写真カレンダーをいただきました。家に帰ってからその写真を眺めるだけで心が落ち着き、「動物にここまで癒やされるのか」と驚きました。振り返ると、この体験は休職初期の不安定な時期を乗り越える大きなきっかけだったと思います。
飼い猫と過ごした日々
休職に入ってからも眠れずひとりになる時間が多いと、孤独感や不安が強くなることがありました。
動悸も震えも頭の重さも止まらず、風船が破裂しそうな寸前──気絶してしまうのではないかという怖さが常にありました。
そんなとき、離婚した父親の家でしばらく過ごすことにしました。そこには、以前私が保護して父が引き取った猫が暮らしていたのです。
最初は私の異常な様子に気づいたのか、その猫も落ち着かず、いつも以上に大きな声で鳴いていました。今思えば、それだけ私の状態が普段と違っていたのでしょう。ですが、次第に私のそばに寄り添い、撫でさせてくれるようになりました。普段通りに毛づくろいをしたり、横で眠ったりする猫の姿を見ていると、「この子がこんなに落ち着いているなら、きっと私も大丈夫なんだ」と思えるようになりました。
また、休職初期は不眠に悩まされていましたが、夜中に目を覚ましてしまっても、猫は一緒に起きてそばにいてくれました。夜の静けさの中で完全に一人きりになる怖さから解放され、孤独に押しつぶされそうな気持ちが和らいでいきました。
こうして父の飼い猫と一緒に過ごす日々は、私にとって心の安定剤のようなものでした。薬や言葉では届かない安心感を与えてくれたのは、やはり猫の存在そのものだったのだと思います。
猫がくれる安心と希望
休職中に猫と過ごした時間を振り返ると、私にとって猫は単なる「癒し」以上の存在でした。孤独や不安で押しつぶされそうになったとき、猫がそばにいるだけで「私は一人じゃない」と思える。そんな安心感が、心の奥まで届いていました。
膝に乗ってきてくれる温かさ、静かに眠る姿、普段通りに毛づくろいをするしぐさ。そうした何気ない行動が「大丈夫」というサインのように感じられて、少しずつ自分も落ち着きを取り戻せました。
そしてもうひとつ大きかったのは、「いつか自分の家で猫と暮らしたい」という未来への希望を持てたことです。休職中は将来のことを考えるだけで不安に押しつぶされそうでしたが、「猫と一緒に暮らす生活」という小さな夢を思い描くだけで、明日を生きる力になりました。
猫は言葉を話さないけれど、確かに心を救ってくれる存在です。これまで何度も猫に助けられてきた私は、これからもきっと猫に支えられながら生きていくのだと思います。
まとめ
私はこれまでの休職生活の中で、何度も猫に救われてきました。最初の休職で出会った子猫、体調が限界のときに立ち寄った猫カフェ、そして父の飼い猫と過ごした日々。それぞれの場面で猫は言葉以上の安心感を与えてくれました。
孤独や不安で心が押しつぶされそうなとき、猫がそばにいるだけで呼吸が整い、「私は一人じゃない」と思える。その感覚は薬や励ましの言葉では得られなかったものです。
もちろんすぐに猫を飼える環境ではありませんが、「いつか自分の家で猫と一緒に暮らしたい」という未来への希望は、今の私を支えてくれる大切な目標になっています。
休職中で気持ちが不安定なときこそ、心を安心させてくれる存在が必要です。私にとってはそれが「猫」でした。この記事が、同じように不安を抱える方に少しでも寄り添えるものであれば嬉しいです。
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